イグレン 加藤 文男
「原材料の先行手配をしない」など既に挙げたような納期が長くなる理由以外に海外調達の納期は長くなります。その原因には次のようなものがあります。これらの手続きと想定期間は、取引先の状況で異なります。実態を専門業者に相談し、正しく把握しておきたいものです。
(1)製造期間が長い
日本に比較して、製造に要する時間が長いと考えたほうが良いでしょう。製造期間は、取引先の状況により決まりますが工場内の生産管理や生産効率が良くないことが原因です。
取引先の担当者は、国内調達のように無理な日程で納期を約束することはしません。また、国内企業のように柔軟な対応をしません。
原材料の調達期間、その相手先の在庫状況を綿密に把握を考えません。調達担当者の能力や性格も影響します。海外取引先の生産の実情をできるだけ詳細に質問し、対応力を評価し、結果のみ聞いて安易に了解しないことです。
(2)現地輸出手続きと日本国内の輸入手続き
海外調達で発生する納期が長くなる原因に現地での輸出手続きと日本国内の輸入手続きがあります。船便の場合を想定して項目を記載します。この期間は、その国の実情や季節の変動もあります。これらの項目について、個々に正しい情報を入手して実際の日程を想定できるようにしておきます。(②から⑧までは国内調達にはない工程です)
① 現地工場の製造完了・包装梱包
② 工場から積地倉庫への搬入
③ 税関手続き
④ 運送人による本船への船積
注意:生産地の積出港から毎日日本への輸送船があるとは限りません。船便の日程を正しく把
握します。
⑤ 船による輸送期間
注意:いくつかの経由地を経て輸送される場合は期間が長くなります。
⑥ 本船からの積み下ろし
⑦ 税関手続き
⑧ 国内倉庫への搬入
⑨ 日本国内輸送
⑩ 国内工場への搬入
(3)予測できないトラブル
過去に発生したトラブルをできるだけ情報を収集します。自然災害は、納期遅れの理由として免責される項目の一つです。一部地域の洪水などは、その国にとって、毎年発生することでごく当たり前のこととして言い訳の理由にされることもあります。
① 生産地特有の季節的要因 雨季による洪水など
② 政治的な要因による通関の遅れ