イグレン 加藤 文男
新製品開発は、その企画が不十分で製品の概要だけで手探りで始められることが多く、開発設計者も検討しながら、新製品設計を進めることが多いものです。新しい部品の開発も技術レベルの高い下請企業の担当者から指摘を受けながら、構造や詳細仕様などを決め、製品の完成度を高める場合もあります。従って、製品の最終仕様や設計図面の進行が進むと同時に設計の間違いに気が付き、修正する必要が出ることがあるのです。これが新規原材料の仕様変更の原因です。
国内調達の既存商品用部品の発注先はほぼ決まっており、仕様書や図面が出来上がると下請け企業に渡され、生産の準備作業が進められました。それでも顧客の苦情や要望により、仕様変更があります。これらの仕様変更は、下請企業に気軽にその修正を依頼していました。この変更に要した費用は出来るだけ安い費用でその多くは無償にて対応させてきたのです。その費用の一部でも見積価格の変更で上乗せして請求できればよいのですがほとんどは受注する下請企業で負担することが了解事項になっていたと聞いています。それどころか次年度の価格はコストダウンの要求さえ出るのです。
海外調達ではこのようにはいきません。調達の打ち合わせ以降、設計の変更、つまり仕様変更が発生すれば、再見積になります。納期も変更になる場合もあります。さらに取引先が製造するために原材料を手配しており、その材料が使用不可能でなればその補償や不要となった原材料の買い取りさえ要求されるのが当然となります。発注して時間が経過するほどそれまで仕様変更に要した費用は、大きくなります。そして、納期にも影響するのです。国内調達で問題にならなかった仕様変更は、海外調達では有償で結構高価な負担となるのです。
国内調達では、仕様変更で発生した費用は、下請企業から請求された経験があまりありません。海外調達では、その費用処理で戸惑うことになります。仕様変更の責任の押し付け合いになり、その費用処理方法で責任部署とその処理負担の項目で困るのです。
海外調達では、設計技術者は、仕様書や図面、規格などの完成度を高めて、その決定には責任を持ち、安易に仕様変更をしてはならないのです。