イグレン 加藤 文男
4 品質保証・品質管理体制と運用方法
品質管理体制や品質保証体制は企業の規模により人身など大きく異なる。人数の少ない零細企業に品質管理体制を要求するのは無理な話である。そのような企業では、誰が責任をもって運用しているかがポイントになる。社長自身でも構わない。検査責任者でもよい。社長の考え方をきっちり把握して品質問題に対応できるかどうかを確認したい。中小零細企業でもISOの認定を受けていれば明確になっているはずである。
規模の大きな企業の場合、品質管理部門、品質保証部門があり、品質の責任の持つ担当者を置いている。組織も明確になっている。確認したいことは、その担当者に権限を与えているかどうかである。大きな権限の一つは、品質問題が発生した時の出荷の可否の決定である。つまり、出荷停止の権限は誰が持っているかを確認する。これがあいまいで決まっていない場合が多い。
品質に関する基準書や工程図など品質管理に関する書類のファイルなどが作成管理されているかどうかでも判断できる。仕様書、図面、承認図、外観検査限度見本など製品に関する書類の保管場所を見ればその管理レベルは判断できる。
毎月の品質検討会議の開催と出席状況は企業規模で異なるかもしれない。希望相応に実施されているかどうかで判断が可能である。品質責任者が不良率、クレーム内容など品質のレベルについて明快な応答ができれば、把握できていると判断できる。クレームの処理ルールはあるか。処理実績のファイルの管理状況が常に記録されていれば安心できる。仕様変更など製造条件変更の手続きが明確になっていることは重要である。
従業員への品質管理や品質保証の教育は重要である。QC教育のプログラムがあれば見せてもらうことである。しかし、中小零細企業では無理かもしれない。社長と一緒に、工場内を案内してもらえばよい。社長が現場で5Sの不十分な点を作業者に逐次改善を指示する姿勢があるかどうかで判断できる。社長が問題点を発見し、直ちに適切な指示が出るようであれば、QC教育もできていると判断してよい。また、毎月の品質状況が職場に掲示されている工場では、常に新しいデータが追加されているかを確認することでも判断できる。
日系企業でも海外の工場は日本の工場と同じレベルで管理が徹底できていないことが多い。日系企業というだけで安心してはいけない。取り扱う原材料(部品)により、自社で購入できる品質かどうかで柔軟に対応することも必要である。