24 安心できる取引先を選ぶポイント1  

品質に関する方針

イグレン 加藤 文男

この回から、海外の取引先を選ぶ際に注意すべきポイントを考察する。
まず、購入先の選定については経営者又は、経営トップ(工場長、製造部長を含む)と面談し、指紋をして経営理念、方針、管理体制に関する考え方を確認する。組織体制は企業規模により実践方法は大きく異なる。企業規模でその評価基準を変えないと判断を誤ることになる。また、工場内を直接巡回し方針や品質状況の掲示を確認する。改善活動など活発に実践していれば、常に最新の情報で改訂されていることが確認できる。
話を聞くだけでなく現場を直接確認することも大切である。技術設計部門は社外秘扱いのところも多いので直接設計ルームなど確認が難しいが設計技術者と懇談する機会は持ちたい。
それぞれの項目についてみるべきポイントを記載しておいた。ただし、以下の各内容は海外の取引先にとって非常に厳しく、このレベルにあるところは少ない。この基準をすべて満足する企業はないかもしれない。従って、海外調達を担当者は、自社の要求する基準をどこのレベルまで許容できるかを自社の経営トップや上司と相談して決めることを勧めたい。

1 経営理念
経営者がきっちりした経営理念をもっていることを確認したい。経営者に直接話を聞いてみれば判断できる。現在多くの企業は、ホームページを開設している。その企業の経営理念はホームページに掲載されているがそれだけでは判断できない。文章は誰にでも作れる。ホームページは業者に任せれば適当なものが作成できるからだ。
経営者に会って、ホームページに記載されている経営理念についてさりげなく質問してみる。直接経営理念という言葉を使用しないでホームページに記載されていることを話題にしてみる。経営者自身が理念を持ち、ホームページに記載させていればすぐに適切な反応がある筈である。経営者の信念が会話に出てこなければホームページの作成者に適当に作らせた内容で行動が伴わないこともある。

2 明確な品質方針、具体的な品質方針があること
 経営者の品質に関する考え方が品質方針となって表れる。品質を作るのは、社長ではない。そこで働く従業員である。従業員、作業者にとってわかりやすく表現されていなければ意味がない。そして、その考え方を作業者に徹底するために工場内に掲示されているのが普通である。経営者に品質方針に関して強い意識があれば、品質方針は見直しされる。表現は毎年変更し、改定されることもある。工場内の掲示物を確認してみることである。

3 経営者の品質に関する考え方
これも経営者に直接面談して確認する。まず、現在の自社の品質状況を把握しているかどうかである。主要な製品の品質状況を差し支えない範囲で説明を求める。問題点は「社外秘」と逃げるようではだめ。最近の品質問題について質問してみる。品質問題の有無ではなく、その品質問題をどのように解決し、現在どのようになっているかを確かめる。
大きな品質問題は、社長自ら問題を把握しているはずである。小さな問題は、しかるべき担当者、例えば、品質管理部門や品質保証部門が担当している。技術的な問題は、設計部門など適切な部下に問題の解決を指示している。解決した責任者から報告を受け、解決した結果を把握している。

掲載日:2017/01/27

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