イグレン 加藤 文男
新しい購入先の選定は、経営者又は、経営トップ(工場長クラス)と面談し、経営理念、方針、管理体制に関する考え方を確認することが大切です。また、その企業を訪問し、工場内を巡回し、方針や品質状況の実践状況や改善活動なども直接確認することも欠かすことはできません。技術設計部門は、社外秘扱いのところも多いので直接設計ルームなどを見せられることは少ないでしょう。しかし、設計技術者と直接面談や懇談し、その技術レベルに関して考え方を聞く機会も持ち、できるだけ評価しておきたいものです。
それぞれの項目の注意点の整理をしておきます。これらの項目は、継続して取引をする際にも訪問時の眼の付け所どころでもあります。取引先を選ぶチェックシート作成の参考にしましょう。チェックシートを作成しても、現場でそれと照らし合わせながら質問はできませんので、これらの項目は頭に入れておき、自社の要求の程度により、折に触れて適宜質問し、判断するようにしたいものです。できるだけ資料を入手し、現場を見て確認します。
判断する基準は、その原材料で製造する製品や会社の方針により異なります。判断基準は、調達する原材料の購入するコストにも影響します。あまり厳しい条件や判断基準にすると経済的にコストが合致しません。自社の方針に従って、適切な項目と判断基準を作成します。またその基準も適宜改訂することも重要です。
1 経営者の品質に関する考え方
経営者に直接面談して確認し、判断します。
・経営理念はあるか。
・明確な品質方針はあるか。具体的でわかりやすいか。
・古くはないか。見直しや改訂が行なわれているか。
・従業員へ徹底されているか。(社内での掲示などで確認)
・品質管理部門、品質保証部門があり、品質管理担当者を置いているか。
(企業規模に相応した組織と担当者)
・品質責任者に権限を与えているか。出荷停止の権限など
・社長が品質状況を把握しているか。
・品質検討会議の開催と出席状況、品質レベル(不良率、クレーム内容など)。
2 品質保証・品質管理体制
・品質管理・品質保証体系が明確になっているか。品質保証体制図
・品質状況が職場に掲示されているか。新しいデータが追加されているか。
・品質管理教育のプログラムはあるか。実施されているか。
・仕様変更や製造条件変更の手続きは、管理されているか。変更履歴の管理。
仕様変更 材料部品 外注先 検査方法 検査員
・クレームの処理ルールはあるか。処理実績のファイルの管理状況
・品質管理に関する書類は管理されているか。管理工程図 基準書
・製品に関する書類の管理。 仕様書、図面、承認図、外観検査限度見本
3 部品材料など調達品の受け入れ検査
・受け入れ検査を実施しているか
・書類の管理は適切か。仕様書、図面、検査基準、限度見本
・検査項目は適切か。
・計測器の管理は適切か。 校正されているか。
・検査データは管理されているか。生かされているか。
・不良品の処置は、適切か。処理基準はあるか。
4 工程管理
・作業環境管理
・整理整頓(5Sの実践) 定置管理 区分表示
・工場内に不要物は、置き去りにされてないか。
・作業指図書はそろえているか。改訂はされているか。
・部品や製品の取り扱い方は適切か。丁寧か。
・検査品の区分 検査済品、未検査品、ロットアウト品の区別
・不良品の管理 良品との明確な区別 不良内容の表示
5 工程検査
・検査基準は明確か
・検査担当者は、変更ないか。(ころころ変わらないか)
・検査ポイントは適切か。
・限度見本の使い方は適切か。管理は適切か。
・検査担当者の教育は行われているか。
・検査データの管理はなされているか。検査不良のフィードバック状況。
・計測器の管理は適切か。 定期的校正
6 出荷検査
・検査基準は明確か
・検査担当者は、変更ないか。(ころころ変わらないか)
・検査ポイントは適切か
・限度見本の使い方は適切か。管理は適切か
・検査担当者の教育は行われているか
・検査データの管理はなされているか。検査不良は適切にフィードバック
・過去の不良に関するデータが、作業指導書に生かされているか
・計測器の管理は適切か 定期的校正
・異常に対する対策報告書の管理
・外部からの苦情に対する対策報告管理
7 在庫管理状況
(1)材料在庫
・原材料の管理倉庫の5S 保管状況 数量管理のし易さ
・入手庫管理 先入れ先出し
・滞留品の管理 IC、LSIの保管期限
・棚卸状況
(2)製品在庫
・保管倉庫の5S 重量品積み段数、担当者の荷扱い状況
・先入れ、先出し
・滞留品管理
・返品管理(返却品との区別)
・棚卸状況
8 外注管理状況
・品質保証体制の確認
・品質に関連する組織を把握しているか
・原材料の調達先の把握
・品質異常に対する対策報告書管理
・製造条件変更時の連絡管理
・金型の管理状況の把握
9 金型管理状況
・保管状況 5S
・定期的メンテナンスとその履歴管理 ショット回数把握
・金型使用後の清掃
・長期未使用金型の管理
10 設計部門の状況
・使用計測器のレベル 製品の技術レベルとの合致
・信頼性試験 設備と使用状況
・設計人材の確認
・新技術への対応 展示会などへの参加、報告書のルール