イグレン 加藤 文男
改善や新製品開発に重要な情報収集方法として、各種展示会への来場、仕入先などからの紹介・提案、業界誌、専門誌等による情報などがあります。ここでは、展示会について検討します。
首都圏では、毎週のように展示会が開催されています。展示会開催に関する情報は、ネットで入手することができます。開発購買担当は、関連する業界、製品、原材料に関する展示会の情報を入手し、製造部門や開発設計部門に来場(視察・見学・情報収集)を促すなどの情報提供も有効です。展示会への来場は、単独行動では、情報に漏れや偏りが出ます。展示会に来場した後相互に情報を交換する報告会を開催するなどの共有の機会を持つことも効果的です。
展示会は、新しい技術や工法に関する情報を入手する重要な機会です。最近は、単に新製品や新しい原材料を展示するだけでなく、技術セミナーも同時に開催されます。社内で将来必要と思われる関連技術については、有料のセミナーにも出席し、資料を入手しておきたいものです。大きな展示会では、公式ホームページでセミナー内容などが記載されるのでこのチェックも忘れないことです。展示会は、東京国際展示場(東京ビグサイト)、千葉幕張メッセ、パシフィコ横浜の3箇所の開催内容をネットで参考にできます。すべての展示会を見に行くことは、時間的に無理があります。それぞれの特徴を知り、自社の業種・業容に応じて選別します。
(1)展示会に関する事前の検討
事前の案内パンフレットが参考になります。資料で下記の内容を確認し、自社にとって有用・有効な展示会かどうかの評価をします。毎年定期的に開催される展示会では、大体日程も事前に把握できます。
初めて開催される展示会では、下記のような内容を把握し、見にいくべきかどうかを評価し、「だれを参加させるか」自分で行く場合には、「誰といくか」等を判断します。数日開設される場合は、セミナーなどが併設されていますのでそのセミナーの開催日程に合わせます。
・ 展示会のテーマに注目
・ 展示参加企業の情報
展示するライバル企業のリストアップ
・ 展示会に併設されるイベント内容
講演会、セミナー、ワークショップ
展示会開催初日の状況は、テレビや新聞のニュースで知ることができます。展示会初日の夕刊にはニュースに取り上げられることがあります。初日に出かけられないときには、これらの情報を参考に当日の訪問ブースを検討することも考えます。
(2) 観察するポイント(何を見るか)
効率よく展示会のブースを廻るために次のようなことを予め検討しておきます。
① 展示会のトレンド
可能な限り、毎年、同じ展示会を見て比較することです。昨年と何が変わったか。例えば、IT関連企業が増加したとか、海外企業の参加が増えた、大手企業の参加が減少したなど、できれば、具体的な企業名も確認して記録しておきます。毎年展示会の内容は少しずつ変わります。トレンドを観察し、何が変わっているかを見るようにします。
② 自社関連事業や関連製品に関する最先端技術の動向
特定の企業の展示商品などをよく観察しておくとそのトレンド(変化)から次にどのような新製品が出てくるかなど傾向が読めるようになります。
③ ライバル企業の展示内容
開発購買担当として、ライバル企業が出した新製品に関心を持つのは当然です。自社製品との比較検討表を作成できるよう見るべきポイントをしっかり観察します。
④ 人気のあるブースを見る
注目される新製品が発表されているブースに注目します。自社の業種と関係ないメーカーや業種にも関心を持ち観察します。開発購買担当として、ブースの人だかりに注目して観察する気構えも大切です。大きな変化を見つけることができます。
⑤ 展示分野とその分野の占める面積の割合 企業数など
展示分野、基礎技術、加工技術、製造装置、環境エネルギー、福祉、産学公・企業間ネットワークなどにも気をつけます。どの分野の展示面積占有率が高いか、企業数が多いかなども気がついたことを記録します。
⑥ 講演やセミナー
基調講演の内容やセミナーやワークショップの内容、講演者、所属企業、出展企業紹介、新製品紹介にも注目します。セミナーや講演は事前登録制になっていることが多いので早めに登録します。関連する講演は、無料の場合はとりあえず申込みし、受講票を入手します。都合が悪くなれば、他の社員に譲ることも可能です。関心のある公園は、資料だけ入手する方法もあります。
(3)同行者
調達・購買担当者にはできるだけ技術系の社員に同行することを勧めたい。技術系の社員の関心や見るべきポイント、質問内容が異なり参考になります。同行者ではありませんが、他社の見学者の質問を横で聞くのも参考になります。
(4)報告書の作成
展示会を見た場合、情報を整理し、報告書を作成します。他社製品比較表の作成は当然です。部下を同行する場合には、展示会の見方を部下指導のよい機会として活用できます。
(5)参加者相互の情報交換
関連事業や関連商品のパンフレットはできるだけ入手します。情報・意見交換の参考とすると共に報告書に添付します。展示会における気づきが新製品開発情報に結び付くことが多いものです。資料と報告書をきっちりファイリングし、いつでも見ることができるように整理します。また、他社のパンフレットは、自社で資料を作る際に参考になります。展示方法も自社出品展示の参考にできます。