イグレン 加藤 文男
原価管理の考え方の最後に、製造業における製造原価、総原価、販売価格の関係を整理しておきます。
(1)原価の考え方
製造原価の計算は、業種や業態によって大きく変わります。また、経済社会の情勢によって
も変化します。しかし、調達、購買担当者は、不確定要素が多いからと言って理論武装しな
いわけにはいきません。そこで現在得ることのできる範囲で条件を設定し、できるだけ正確
な理論的原価を計算し、準備しなければなりません。
理論的に原価を計算する際、原価を構成する要素が複雑多岐にわたりますが製造する工場・
作業方法・使用機械等の諸条件によって算出される原価は変わってくるので一定の条件を決
めて算出します。
算出する条件により、製造原価、総原価などがあり、使い分けています。原価のそれぞれの
意味を整理しておきます。
原価とは、企業の生産販売活動の流れは通常材料メーカーから材料が仕入れられ、その材料
が人と機械の一体となった生産活動によって加工され、より付加価値の高い製品を生み出
し、販売されます。原価には、工場で生産する際、製造設備や測定器も必要でこれらの費用
も含まれます。工場をサポートする間接人件費や販売後は、サービスの費用も考えなくては
なりません。原価は、これらのすべての費用・コストを把握して算出します。
(2)製造原価
製造するためには、原材料・部品が必要です。そして、組立て配線など作業のために人の力
つまり労働力が必要です。作業するために工場の建物があり、組立てするために機械設備も
準備しています。機械設備を動かすために電力、ガス、水などエネルギーが必要です。製造
原価として、生産活動のために原材料、労働力、建物・機械設備、エネルギーが必要で、
これらはすべて製造原価として計算されます。
原材料・部品は、材料費、人に力など労働力は、労務費、人以外の機械設備やそれを動かす
ために必要な費用が「経費」となります。
製造原価は、直接費、間接費という分け方や固定費、変動費という分け方もあります。
製造原価 = 材料費 + 労務費 + 経費
= 直接費 + 間接費
= 固定費 + 変動費
(3)総原価
販売するために、営業担当者の活動費用、更にアフターサービスの費用も必要です。
これらの費用は、販売費、管理費として集計され、販売管理費になります。
ここまでが製造・販売するための費用で総原価と呼ばれます。
総原価 = 製造原価 + 販売管理費
= 材料費 + 労務費 + 経費 + 販売費 + 管理費
(4)販売価格
販売するためには、販売管理費の他に会社として利益が必要です。利益を確保できなけれ
ば、会社を維持することができません。総原価に利益が追加され、販売価格になります。
販売価格 = 総原価 + 利益
= 製造原価 + 販売管理費 + 利益
= 材料費 + 労務費 + 経費 + 販売費 + 管理費 + 利益