26 原価管理の考え方 3

製造原価の捉え方

イグレン 加藤 文男

 原価の内容については、原価計算の方法で述べましたが、製造原価を材料費、労務費、経費という捉え方があります。そして、製造原価を直接費、間接費という捉え方や固定費や変動費として把握する方法もあります。製造原価を検討する際に視点を変えてみると改善すべき点が見えてくる場合があります。
これらの考え方もよく理解しておきましょう。

(1)製造原価の構成 1
   製造原価は、材料費、労務費、経費に分けられます。

製造原価 = 材料費 + 労務費 + 経費

 ① 材料費
製品製造のために消費(加工・変形)され、その製品の主たる実体を構成するときの材料と
製品の製造上は消費されるが製品の実体を構成しない材料(間接材料)の費用。
   例 ・樹脂成型部品の材料である「ABS樹脂」や「ポリカーボネート」など          ・間接材料として「塗料」「接着剤」「ハンダ」「グリス」「機械油」など

 ② 労務費
労務費は以下のようなもので構成されます。
  給与・賃金、賞与、退職金、法定福利費、任意福利費
   例 ・法定福利費:健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料等の会社負担分
     ・任意福利費:通勤交通費・レクリエーション費等

 ③ 経費
  材料費・労務費に含まれない部分の費用で以下のようなものが含まれます。
  減価償却費、電力・ガス・水道料、修繕費、固定資産税、保険料、消耗品、通信費、
  出張旅費、賃借料、運送費

  例 ・修繕費:機械・設備・建物等の修理代
    ・固定資産税:土地建物機械等にかかる税金
    ・火災保険料:建物・機械等にかける保険料金
    ・減価償却費:機械、設備、建物は使用するに従い古くなりその価値は減少し、買い替
     えが必要になります。この固定資産の価額が時間の経過と共に減額することを減価償
     却といい、その減価額を減価償却費といいます。減価償却費の計算の仕方には、定額
     法と定率法の2通りの方式があります。

 (2)製造原価の構成 2
   製造原価は、直接費と間接費に分けられます。

   製造原価 = 直接費 + 間接費

 ① 直 接 費
   原価の発生がその製品に対して直接的に認められるもの
   例 ・主要材料費      直接材料費
     ・直接作業者の賃金  直接労務費

 ② 間 接 費
   原価の発生がその製品に対して直接的に認められないもの
   例 ・ 補助材料費   間接材料費
     ・ 間接作業者の給料   間接労務費
    ・ 減価償却費  間接経費
     ・ 電力・ガス・水道料  間接経費

(3)製造原価の構成 3
   製造原価は、生産数量や操業度との関連において固定費、変動費に分けられます。

   製造原価 = 固定費 + 変動費

 ① 固 定 費
  操業度または生産量の増減にかかわらず固定的に発生する(変わらない)費用
  例 ・減価償却費(定額法によるもの)
    ・固定資産税
    ・火災保険料
    ・賃借料    等

 ② 変 動 費
  操業度または生産量の増減に応じて変動する費用
  例 ・直接材料費
    ・直接労務費

掲載日:2015/08/25