イグレン 加藤 文男
改善提案で仕事を面白くする
原材料管理の主要な業務内容は、注文書により取引先から搬入された原材料を ① 受領し、 ② 検収し、 ③ 入庫・保管して ④ 出庫・引渡し までの順序となります。このほかに定期的に行なわれる「棚卸し」という資産状況の確認業務があります。
業務で取り扱う原材料は製品の一部を構成し、ひとつひとつの価格が小さいためにその扱いは軽視されがちですが材料管理は大変重要な役割を持っています。材料管理部門は、会社の資産を預かり、製造部門の生産計画にあわせて、供給する原材料倉庫とも言われ、業務は目立つことのない「縁の下の力持ち」としての存在です。
材料管理の検収する部門は、取引先から納入される原材料を最初に受領します。受け入れ検査で不良品とならない限り、受領した時に原材料の管理責任は自社に移転します。材料管理担当の使命は、製造部門に対して必要な原材料を必要な時期に必要な数量を適切な品質で供給するために「原材料、部品」を最適状態で管理し、しかるべきタイミングで出庫することです。
材料管理業務には、原材料の動きと共に常に数量確認と伝票・帳簿・棚卸票などの記帳が伴います。数量を確認する仕事は、安易になりがちですが数量確認ミスは取引先や出庫先との信頼関係を損なうだけでなく、生産に支障を生ずることになります。常に細心の注意を払い、業務内容を強く意識して実施する重要な業務です。実務が簡単と思って安易に処理してはいけません。
材料管理部門は、新入社員は最初に配属される部署として最適です。社内で使用する原材料の種類やその量などと共に現物を直接手にとって確認できます。また、その原材料に関する受入れ検査におけるトラブル、製造工程における品質トラブル更に納入業者への返品処理(返送処理)は、すべてこの部署を経由します。
材料管理部門は、たいへん目立たない地味な仕事をする部門ですが、この部門に出入りする関係者やその人たちの間で交わされる会話は、会社の中で発生する多くのトラブルがあります。関係者の会話を注意深く聞いてみましょう。この部門は、会社の中で発生する原材料に関する問題を見通せる部門なのです。したがって、原材料に関するトラブルの発生状況と問題をよく発生する納入先名などの状況を知ることができます。
この部門の担当者が日々の業務を適切に確実に実施されないと社内で下記のような問題が生じます。
・ 計画通りの日程に製品ができない
・ 会社の資産を正しく把握できな
・ 在庫過剰によるロスが発生する
・ 品質劣化のロスが発生する
新入社員がこの部門に配属されるとその業務内容が簡単なために「なぜこのような部門に配属されたのか」と気落ちしてやる気をなくしてしまう場合があります。しかし、ここは、原材料と納入先に関する情報の多くを知ることができるのです。また、原材料に関する問題は結論が急がれるために、解決はされますが会社の中の基本的な問題として、課題が手をつけられずに存在する場合もあります。更に、棚卸し業務は、会社の資産状況を把握することもできます。棚卸し業務を通して、過剰在庫や滞留品の存在など不適切な在庫の存在を発見し、その改善を提言することになります。
このように関係者の会話に耳を傾け、問題点を明確にし、基本的な課題を解決し、不適切な在庫の発見と改善提案など貴方の能力を十分発揮できる部門なのです。もしあなたが原材料管理担当に配属されたら、このようなことに取り組んで見るとよいでしょう。毎日の仕事がたいへん面白いものになります。