イグレン 加藤 文男
層別の考え方
品質問題を解決するときに大切なことは資料を良く検討することです。資料とはデータです。データは、取得された背景、履歴などが素性がはっきりしていることが大切です。データの素性がわかれば、次にすることは層別です。詳細に取得されたデータでも色々なデータが混じっていることがあります。これを整理することから始めます。これが層別です。
層別とは、データの共通点や特徴、くせに注目して、いくつかのグループに分類することです。層別する項目が多ければ、さまざまな層別が可能になり、有効な情報が得やすくなります。データを正しく層別することにより、問題を整理し、分析し、問題を発見しやすくすることができます。
問題に遭遇したら、そこにある情報(データ)を集めます。情報がなければ、現場の関係者から情報を聞き出します。集めた情報は、層別し、その傾向を把握します。問題を解決する糸口が見つかるものです。
もし、集めた情報(データ)が層別されていなければ、情報の集め方、情報を集めた対象先が適切な管理の考え方を持っていないことの証明です。対象先の管理状況から検討しなければなりません。
(1)層別の使い方
・ 問題の把握(現状の把握)
・ 原因の分析
・ 具体的な対策の検討
(2)層別の事例
次に層別の事例を大項目、小項目にわけてあげてみます。これらの項目から層別の基本的な考え方が理解することができます。
大項目 小項目
時間別 時刻、午前午後、昼夜、日、曜日、週、旬、月、季節、期、年
機械、設備別 機種、型式、性能、メーカー、新旧、修理の前後
担当者別 男女、年齢、経験年数、職業、資格の有無、職位
地理別 地域、国、地方、都市、県、市、町
ルート別 ルート、市場、相手別
環境別 雰囲気、騒音、振動、換気、照明、気圧、温度(気温)、湿度
販売店別 店の規模(売上、店の面積、従業員数、仕入額)地域
商品別 品名、メーカー、デザイン、品質グレード、重量、価格
顧客別 男女、年齢、経験年数、職業、職位
(3)応用例
・ 電話機にあらわれたキズ
何時に現れたか 時間による層別
どの部分に現れているか 場所による層別
どの様なキズか 種類による層別
キズの症状、特長 症状による層別
・ 調達・購買における層別の事例:不良・トラブルの発生件数
仕入先別
製品別
設計者別
・ 調達購買における層別事例
仕入先別
製品別
設計者別
情報の層別は、品質管理の基本的な考え方です。情報は、上記の応用例に示されるように層別して収集できるように考えましょう。