イグレン 加藤 文男
資材購買の業務は、原材料の調達先の情報を入手し、見積を取得し、契約し、納期どおりに入手することです。多くの会社では、個々の原材料について適正な在庫の数量を定めており、適正なタイミングで契約担当者や調達担当者が発注します。入手した原材料は、材料管理担当者が適正に保存管理し、必要に応じて出庫し、供給します。これが資材購買の定型的な業務です。
このほかに常に新しい技術や工法、取引先の開拓などを行なう開発購買機能を加えるとその守備範囲は広いものがあります。それぞれの会社は、資材購買を担当する部門に購買部、資材部、調達部などと組織名称を付しています。部門の名称は違ってもこれらの部門の機能や役割は同じです。
さて、ここで新しく資材購買に配属された方々や調達部門に異動された方々のために基本的なことを整理しておきます。
「資材購買は、契約で始まります」と言っても、現在資材購買を担当している人達もそれほど「契約」を意識せずに業務を実践していると思います。原材料、部品を購入する発注先は、樹脂成型品はA社、板金部品はB社とC社、電子部品は、D社、E社、F社というようにほぼ決まっており、価格も決まっています。日常的の取引は、当たり前のように注文書が作成され、調達先へ送付されています。
資材購買の流れで検討しましたように原材料、部品の調達は、注文書を発行することで始まります。注文書は、資材購買における重要な契約書のひとつです。取引(注文)は、このほかに電話による連絡やメールの送付などでも行なわれます。この場合、後日正式注文書が送付されるのが普通です。
注文を受けた企業は、原材料名や価格や納期他取引条件など内容を確認し、受注することに問題がなければ注文請書を発行します。注文書が届き、内容を確認し、取引相手先から注文請書が送付され、確認されて取引が成立するのが原則です。しかし、日常の取引ではお互いの信頼関係から、電話やメールによる連絡でも注文として有効です。ぜひこの原則を知っておきましょう。
日常の取引件数や取引数量が多い場合には、注文書が遅れたり、手違いにより届かなかったということもおこります。逆に注文請書は、慣習的に省略される場合もあります。納期が厳しい場合や大きな価格変動があった場合には、その都度、取引条件の調整のために交渉され、価格や納期が変更されることがあります。このようなときには、最終的な条件を議事録などで確認し、注文書に反映することが重要です。更に、全く新しい取引先との取引では、注文請書を確認しないで放置し、納期近くになって間に合わずにあわてることもよくあることです。
このようなトラブルを避けるために資材購買担当者は、契約のルールや原則をよく知っておき、更に取引先との資材購買の習慣を認識しておきましょう。全く新しい取引先への注文や重要な原材料の調達の場合には、注文書を送付すると共に注文請書を要求してもおかしいことではありません。