6 地球環境保護に貢献するグリーン購買

イグレン 加藤 文男

 1980年代には、オゾン層の破壊が問題となり、フロンガスの規制が始まりました。1991年経団連が「地球環境憲章」を発表し、1997年 環境アセスメント法が制定されました。多くの大企業、特に自動車製造業、電子機器、電気機械製造業は環境部門を設置し、環境報告書やCSR報告書を作成し、公表し始めました。

 環境部門が設置されても最初は企業の直接利益を生み出す活動ではないために、環境部門の活動に対して積極的に協力する姿勢がありませんでした。欧州における活動が本格的に実施され、電気機器に使用された線材に鉛物質が検出され、改善を求められる問題が発生しました。鉛物質が検出されて、製品の回収が新聞報道されると日本の各企業が本気で動き始めました。環境保護に関する法律や規制の改定を「知らなかった」ではすまない持代になったのです。

 環境部門は、当初情報を収集し、提供するが実際に製品設計に対応するのは技術設計部門でした。各企業において、開発設計部門だけでなく、資材調達部門が環境保護に対応できる適切な原材料に関する情報を提供する必要がでてきました。そして、環境負荷ができるだけ小さい原材料を優先的に購入するグリーン調達は現在では常識となったのです。

 REACH、RoHS、PRTRなど環境保護に配慮した原材料を供給できる取引先を探し出し、原材料のリストとして、取引先と品名型式を設計部門へ提供するのは資材購買担当の業務でもあります。資材購買担当者は、従来の原材料や部品の仕様や性能、品質、納期、価格だけでなく、社会の動向にも注意し、関連部門と協力して対応する視野の広さも要求される時代が来たのです。先進他社の環境報告書やCSR報告書にも関心を払い、より幅に広い知識と高度な能力を要求される時代になったのです。

 注:REACH(化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規制)、RoHS(電気電子機器の中の危険物質に関する制限指令)、PRTR(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び改善の促進に関する法律)

掲載日:2015/05/26