2 「できませんでした」と言い訳けできない資材購買担当

イグレン 加藤 文男

 資材、購買部門の使命は、必要とする原材料や商材を適正な価格で必要な数量を購入し、適切なタイミングで調達し、要求部門へ供給することです。

 必要とする原材料・部品・商材を「適正な価格で」「必要な数量を」「適切な納期に」購入取得することです。この考え方は、商品を仕入れて販売する業種にも、多種類の原材料や部品を購入し、これらの原材料部品を組立製造する業種にも同じように考えられます。

 自動車や電気製品などの製品を組立製造する企業においては、複雑な製造工程を経て、それぞれの製造現場において、合理的な組立て順番が検討され、段取りされて製品が完成します。ビルなどの建設現場では、その建設期間も長期にわたり、必要とする原材料を使用する順番も決まっています。適切なタイミングに資材が購入されないと現場も混乱し、工期が遅れる原因となります。

 自動車や電気製品などの組立製造業では、使用する部品の一つが欠けても製品が完成しないのです。電気製品を思い浮かべてください。テレビや小型のラジカセは、ICやLSI、抵抗やコンデンサ部品、ランプやLED、スイッチやトランスなどの電子・電気部品、更にこれらを取り付けるプリント基板やシャーシー、これらの部品材料を取り付けるビスやナットなど、そして、これらを保護するためのケースなどから構成されています。

 自動車も電気製品も、組立て製造業においては、テレビの液晶パネルなど高価な部品から、電気部品を取りつけ締め付けるビスなど1円にも満たない小さな部品でも、使用するタイミングに合わせて必要な部署に供給されなければ、製品は完成しません。高価な原材料で取引先を探すためにどのような苦労があっても、購入する原材料が何千点も種類があっても確認に大変時間を要しても、ひとつの欠品もなく、日程に間に合わなければならないのです。「購入できませんでした」「間に合いませんでした」とは決して言えないのです。

 資材購買担当は、一言で言えば、「使用するすべての原材料を日程どおりに購入し、製造に供給する仕事」と言うことができます。更に、購入した原材料は、技術設計部門が指定した一定以上の機能や性能を融資、品質を確保し、その上、製品を構成する原材料費の合計金額が商品企画段階で設定し、製品として販売した際に利益が出る金額以内に収めなければならないと言う重要な役割を持っています。

 資材、購買部門の使命とは、人、物、金、時間を含めた最適購買と供給ということができます。ここでは、比較的複雑な工程を経て組立て製造する電気製品を想定して、資材購買部門の機能や役割、そして、各段階において注意したいことを説明したいと思います。

掲載日:2015/05/17