イグレン 加藤 文男
私が若いときに「営業担当から資材購買担当に移動になりました」と親戚の新年会で報告をするとある長老が「これで君も家が建つな」と言われました。昔は、大きな会社の資材購買担当になるとその会社へ商材を納入する営業担当者が付け届けだけでなく、日常得られない貴重な情報をもってきて若いうちに家を新築した人もあったらしい。
コンプライアンスが叫ばれ、クリーンなイメージが要求される現在は資材購買責任者への付け届けは大分少なくなりました。しかし、昔は資材購買部門の責任者になるとお盆や正月にお歳暮やお中元が取引先からたくさん届けられました。その長老が新年に資材購買部門の責任者をしていた先輩上司の家へ挨拶に行くと床の間に積まれた贈答品の山を自慢げに見せられたらしい。
古い体質を持った企業や取引関係をもつ会社の一部を除き、このような付け届けは大分少なくなったといわれます。しかし、大きな会社の若い資材担当者が年配の納入業者に対して「偉そうに応対する姿」や権限を振りかざして「おうへいに値切り交渉をする姿」などは今でも資材購買の交渉において見受けられます。
一方、小さな会社の資材購買担当者がネットなどでやっと探し出した取引先の営業部門の担当者に数量の少ない原材料を調達するために必死に電話をかける姿や納期遅れに対する連絡に納期の前倒しをお願いする電話をかける姿が見られます。基本的に資材購買担当者と営業担当者の関係はあまり変わりがないようです。
新年度にあたり、新しく資材購買部門へ配属された新入社員の皆さんや営業部門や開発設計部門から資材購買部門へ異動を命じられ、戸惑っておられる方々が多数いらっしゃると思います。新しく資材購買業務に配属された皆さんのために資材購買業務に関する基本的な考え方や対応方法について述べてみたいと思います。